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Exhibitions

  • Ryoichi Kurokawa, Frame of reference, 2024, Installation, 2/3/4ch square display | 2ch sound, 8’00″ loop

  • Ryoichi Kurokawa, Frame of reference, 2024, Installation, 2/3/4ch square display | 2ch sound, 8’00″ loop

  • Ryoichi Kurokawa, Atom [ mute ] , 2019/2024, UV print mounted on Alu Dibond, (H)150.0 x (W)150.0 cm

  • Ryoichi Kurokawa, Atom [ mute ] , 2019/2024, UV print mounted on Alu Dibond, (H)150.0 x (W)150.0 cm

Current Exhibition

黒川良一|ANOMALIA

13 July - 24 August, 2024

Venue : Takuro Someya Contemporary Art

この度、Takuro Someya Contemporaty Artでは、黒川良一による個展「ANOMALIA」を開催いたします。2018年の個展「objectum」と2019年開催の特別展以来、当ギャラリーでは約5年ぶりの個展となります。ラテン語・ギリシャ語で規則からの逸脱、予想外の状態、不均一性を意味する、「ANOMALIA」をテーマに、新作Frame of referenceとAtom [ mute ]の2作品を展示します。

 

 

 

「ANOMALIA」

 

光と闇、音と静寂の研ぎ澄まされた緊張のなか、環境から収集したデータが作家の手のうちに展開し、時間を彫塑していきます。複雑なビートパターン、トーン、ノイズの相互作用が、朽ち果てる建造物の点群データや有機的なイメージに絡まり合って聴覚と視覚をシームレスに刻み、鑑賞者を圧倒するスケールで迫ります。データを分解し再構築する手法は彫刻的であり、セグメントの劇的な反復が突如、闇や静寂に消える抽象的な瞬間は、黒川良一のオーディオビジュアルにおける真骨頂といえるではないでしょうか。

 

「ANOMALIA」と題した本展では、こうした規則性からの断絶や逸脱に焦点を当てています。初公開となる新作 Frame of reference (2024年)では、構成モジュールとなる正方形のディスプレイが彫刻的に組み上げられ、空間に配されています。自然風景の色彩データは細かな要素に分解され、ノイズのアルゴリズムによって変則化した映像シーケンスが生成されています。鑑賞者は、形状を異にした連結ディスプレイに囲まれ、イメージの対象が視認できない抽象的なゆらぎの中心に置かれますが、12のディスプレイがモジュール間における要素の意図的なズレをあらわにし、差異化の瞬間をフレーミングしていきます。

 

合わせて展示されるのは、平面作品 Atom [mute] (2019/2024年)です。黒川はad/ab Atom (2017年) において、量子テクノロジーを研究する INL (国際イベリアナノテクノロジー研究所) の科学者と協働しました。量子力学の法則が人間の目で認識できる視覚データに変換され、黒川はさらにそれを分析し加工した映像インスタレーションを制作しています。本作はそのときに収集した走査型プローブと電子顕微鏡によるソース画像をもとに、異なる画像データのピクセルがランダムにシフトされるグリッチ画像処理が施されており、意図的な変則性が構図にリズムを与えています。人間の知覚可能性を探究する本作は、デジタル印刷出力の限界に触れながら、1000万分の数ミリから始まる原子の世界に鑑賞者を誘います。

 

硬質な反復によるデジタル世界に、予測困難な自然界のエントロピーを持ち込もうとする考えは、インダストリアルな鉛や鉄を基調とした初期ミニマリズムに抗して、有機的な素材を取り入れた彫刻家にもたとえられるでしょう。自然環境における偶然性を持ち込む黒川のオーディオビジュアルスカルプチャーは、科学的な方法で収集した環境データにデジタル生成を加えながら、光、音、データ、そして量感を建築的なスケールで呼応させることで、聴覚器官の分離以前にさかのぼる感覚を刺激していきます。それはまた、自然の息づかいが電子音に変わり、物質世界とヴァーチャルが行き交うことで、技術が情感を深める共感覚的な体験へ向けられているのです。

 

Takuro Someya Contemporary Art

 

 

 

 

黒川良一 Ryoichi Kurokawa

 

1978年、大阪生まれ。1999年より京都にて映像・サウンド作品の制作を開始。2000年のパリ滞在を契機として、欧州での作品発表が活発となる。2003年からバルセロナのエレクトロニカフェスティバル「Sónar」などでYMOメンバー細野晴臣と高橋幸宏によるSketch Show、HUMAN AUDIO SPONGE(Sketch Show+坂本龍一)のヴィデオパフォーマンスを担当するようになる。2008年ブリュッセルへ移住。2010年より現在までベルリンを拠点に活動。これまでの主な作品発表の場として、「GLITCH」(ピナコテーク・デア・モデルネ、ドイツ、2023年)、「Are You Working Now?」(国立台湾美術館、台中、台湾、2023年)、「Scenery of the Emptiness, and Asia」(国立アジア文化殿堂、光州、韓国、2022年)、「Future Shock」(180 The Strand、ロンドン、イギリス、2022年)、「Living Matter」 (国立トレチャコフ美術館新館、モスクワ、ロシア、2021年)、「Líthi」(KAMU kanazawa、金沢、2020年)、「Coder le monde」(ポンピドゥー・センター、フランス、2018 年)、「The Dream of Forms」(Palais de Tokyo、フランス、2017年)、「第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ」(2011年)、「Synthesis」(テート・モダン、イギリス、2007年)などがある。

 

近年の主な個展に、「fluxes」(K11、武漢、中国、2018年)、「al-jabr」(Fondazione Modena Arti Visive、モデナ、イタリア、2018年)、「objectum」(Takuro Someya Contemporary Art、東京、2018年)、「unfold」(民生現代美術館、上海、中国、2018年)、「A la llum de les idee」(Arts Santa Mònica、バルセロナ、スペイン、2016年)、「unfold」( Foundation for Art and Creative Technology、リバプール、イギリス、2016年)、「Ordered Disorder」(Espacio Fundacion Telefonica、リマ、ペルー、2015年)など。

 

また、CEA(フランスの物理学研究機関)にてリサーチャーを務める宇宙物理学者Vincent Minier氏の協力のもと制作したunfold(2016年)をはじめ、多分野の科学者と数々のコラボレーションを行う。2010年には、アルス・エレクトロニカ(オーストリア)にて名誉ある、デジタル・ミュージック&サウンド・アート部門でゴールデン・ニカ賞(最優秀賞)を受賞。

 

 

 

 

黒川良一|ANOMALIA

会期:2024年7月13日(土)〜8月24日(土)
レセプション:7月13日(土)15:00〜18:00 ※作家在廊予定
開廊:火−土 11:00 – 18:00
休廊:日曜・月曜・祝日
夏季休廊:2024年8月13日(火)〜8月15日(木)
会場:Takuro Someya Contemporary Art

〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex I 3F TSCA
TEL 03-6712-9887 |FAX 03-4578-0318 |E-MAIL: gallery@tsca.jp

 

 

 

 

 

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