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Past Exhibition

黒川良一|objectum

24 March - 28 April, 2018

Venue : Takuro Someya Contemporary Art

  • Ryoichi Kurokawa, “elementum #10″ (rose), 2018, Mixed media, H 260 x W 260 x D 12 mm

  • Ryoichi Kurokawa, “oscillating continuum,” 2018, Audiovisual sculpture, 2-channel square display, 2-channel sound, 8 min. loop, ed.2/6 + 1 AP, H 924 x W 800 x D 422 mm

  • Installation view from “objectum,” 2018, Takuro Someya Contemporary Art, Tokyo

  • Installation view from “objectum,” 2018, Takuro Someya Contemporary Art, Tokyo

  • “lttrans #4 ,” 2018, Inkjet print, Ed. 6 + 2AP, H 1200 x W 600 mm

  • “lttrans #5,” 2018, Inkjet print, Ed. 6 + 2AP, H 1200 x W 600 mm

  • Installation view from “objectum,” 2018, Takuro Someya Contemporary Art, Tokyo

  • “elementum #2,” 2018, Mixed media, Unique, H 260 x W 260 x D 12 mm

  • “elementum #4,” 2018, Mixed media, Unique, H 260 x W 260 x D 12 mm

  • “elementum #6 ,” 2018, Mixed media, Unique, H 260 x W 260 x D 12 mm

  • “elementum #8,” 2018, Mixed media, Unique, H 260 x W 260 x D 12 mm

 

 

この度、Takuro Someya Contemporary Artではオーディオビジュアルアーティスト、黒川良一の個展を開催いたします。ベルリンを活動の拠点とする黒川は、これまでライブパフォーマンスをしながら、欧州各地で名だたる美術館の展覧会に参加してきました。またオーストリア「アルスエレクトロニカ Digital Musics & Sound Art部門」ゴールデン・ニカ(大賞)をはじめ、オーディオビジュアルの分野で名誉ある賞を受賞してきました。こうして欧州を中心に精力的な活動を展開してきた黒川にとって、本展は国内では初めての展覧会となります。

 

黒川の作品に用いられるメディウムは多岐にわたりますが、これまでの活動の中でもっとも代表的なのが映像と音響によって構成されたインスタレーション作品です。作品の多くは複数のスクリーンで構成され、画面上では突如として抽象的なモチーフが現れ、増殖し、壊れゆく姿が映し出されるその様子は、まるで一つ一つのモチーフを微視的に分析していくかのようでもあります。映像は時折、宇宙で起こる粒子の動きや化学反応を思わせ、何かが破壊に向けて構築されていくようにも感じられます。また、画面上の動きと連動して波や鼓動、または何かが旋回するような音が響き渡ります。一方で、流れる水や水滴をモチーフにするなど、黒川は有機的なモチーフを用いた作品も発表してきました。黒川の作品は物質の持つ秩序やエネルギーを知覚的な表現へと転換します。

 

本展「objectum」で黒川は《oscillating continuum》、《elementum》、《lttrans》の3シリーズを発表いたします。各シリーズはいずれも二つの平面上に点と直線で構成され、展覧会全体を通して二元論の概念を物質化させます。2013年に初めて発表された《oscillating continuum》は二つのスクリーンを備えた幾何学的な形状の彫刻作品です。互い違いに配置された二つの画面を水平に横断する一本の線を軸に、点と線による大小さまざまな動きが複雑に展開されていきます。軸によって均衡性を保ちながらも、時には爆発的なダイナミズムによりその安定は打ち破られます。

 

《elementum》と《lttrans》は今年2018年から始まったシリーズであり、今回が初めての発表の場となります。《elementum》は押し花とデジタルプリントという有機的な素材と無機質な素材とを重ね合わせたミクスドメディア作品、一方、《lttrans》は二点組のデジタルプリント作品です。《lttrans》では植物の形から抽出された特徴点から生成した一つのデジタル画像を二点のプリントの構成で作品化することで、同じモチーフを使いながらも一方は規則性を、もう一方は反規則性を表現します。

 

作品上のモチーフからもわかるように、自然環境が自身の作品制作の上でアイデアの源であると黒川は述べます。また、アナログな素材とデジタルな手法を組み合わせることで有機物と無機物を混在させる黒川の作品ですが、これは生物学で用いられる分子交雑の考え方を反映していると黒川は述べた上で、「ここでいう分子交雑とはアナログな素材とデジタルな手法との組み合わせだけでなく、時間と空間、完全と断片、単純さと複雑さ、聴覚と視覚など、さまざまな要素を指します」と言います。

 

また、黒川の作品制作で鍵となるのが音響と視覚表現の調和です。黒川は音響と視覚表現を全く異なる要素として捉え、その二つが同じエネルギーとスピードをもって調和しながら、衝突し合うことが作品の中で重要としています。作家にとって日本国内では初めての個展となる「objectum」は、音響と視覚的要素が調和しながらも衝突を繰り返す様をさまざまな感覚を通して体験する貴重な機会となるでしょう。

 

黒川良一は1978年大阪生まれ、ベルリンを拠点に活動。1999年よりオーディオビジュアル作品を制作し、世界各地で発表し続けています。黒川は自身の作品は時間軸を起点とした彫刻作品であるとし、音とビジュアルの両方が一つに合わさることで一つの作品を構成すると捉えています。彼の作品を構成するのは、録音された音と人工的に生成された音とを組み合わせたある種のシンフォニーであり、そこに映像が加わることで、見慣れた風景やモチーフに対する鑑賞者の視点を変えていきます。CEA(フランスの物理学研究機関)にてリサーチャーを務める宇宙物理学者Vincent Minier氏の協力のもと、ハーシェル宇宙望遠鏡や欧州宇宙機関、NASAの人工衛星から得たデータを基にインスタレーション作品《unfold》を制作するなど、黒川はキャリアを通してさまざまなコラボレーションを行ってきました。これまでの主な作品発表の場として「The Dream of Forms」(Palais de Tokyo、フランス、2017年)、「Turbulences」(Espace Culturel Louis Vuitton、フランス、2012年)、「第54回ヴェネツィア・ビエンナーレ」(2011年)、「Transmediale」(ハウス・オブ・ワールドカルチャー、ドイツ、2009年)、「Synthesis」(テート・モダン、イギリス、2007年)など。

 

 

黒川良一|objectum

 

開催期間 2018年3月24日(土)~4月28日(土)

オープニングレセプション 3月24日(土) 18時 – 20時

 

開廊:火曜 – 土曜 12:00 – 19:00(休廊 日曜・月曜・祝日)

〒106-0047 東京都港区南麻布 3-9-11 パインコーストハイツ 1F

TEL 03-6804-3018 |FAX 03-4578-0318 |E-MAIL: gallery@tsca.jp

Artist Profile

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