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  • “Brusk Brush,” 2017, oil on canvas, (H)73 x (W)65.3cm, ©Shuhei Ise, Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

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伊勢周平|ぶっきらぼうな筆

28 October - 25 November, 2017

Venue : Takuro Someya Contemporary Art

 

10月28日よりTSCAでは画家・伊勢周平の個展「ぶっきらぼうな筆」を開催いたします。

 

2015年の個展「賽の一振り」はメイヤスーによる新たな解読による、フランスの詩人マラルメ『賽の一振りは断じて偶然を廃することはないだろう』(邦題は柏倉康夫氏)をリファレンスとして自身の絵画制作について探求するような展覧会でした。2年間を経た今回の個展は、伊勢周平にとって歴史や社会そして絵画について、学際的・学術的な研究や実践、そこから引き出される制作への思索の充実にあてられていたことを伺わせます。その一端は、本年の博士号取得のために提出された論文「絵画においてイマージュとはなにか-バシュラールの物質的想像力からみる絵画-」からも読み取ることできますが、それ以上に今回発表される新作、展覧会構成は、一目でその成果を感じさせるに十分な内容になっています。大きさやスタイルの全く異なる新作群を簡素に配置しつつも、私たちがそこに共通性を見て取ることの魅力にまず目を惹かれます。作品一つずつの存在感とそれの中に伊勢が求めてきた「ただの絵」を代表する絵画論に導かれる心地よさに気付かされます。

 

伊勢は度々タイトルを付けることを拒んだり、自らの制作やコンセプトの所在を探られることや言及されること、あるいは分かられることを回避してきました。それはタイトルをUntitledとタイトル付けする行為や、受け手が自由に解釈することを奨励するアーティストからの「優しいギフト」とも違います。その証左として持論や雰囲気ではない史実や事実関係に基づいて自らを位置づけ裏付けることの重要性を理解し続けようとする姿勢にあらわれています。

 

この伊勢の姿勢は、終わりを告げられたかのような「絵画自身」と強く重なっているように思われます。「絵画において求められるものは残っているのか、やりつくされたのではないか」「絵画を続ける意味はあるのか」「絵にこだわる理由は何か」と誰かが考えるとき、すなわちそれは「絵画についてはわかりきっている」「我々は絵画については全て(だいたい)を知っている」という考えが重なってくるでしょう。このことについて伊勢は「わかりきっている」と本当に言い切れるのか、言い切れるほどのことが取り組まれてきたのか自問自答している、もしくは「わかられたよう」に扱われる絵画自身のことを想っているのかもしれません。絵画のことについて史実や学際的探求としてあたり、実践を通じてあらわそうとしている作家自身が「わかられてしまう」わけにはいかないということの体現かもしれません。

 

前回の個展では不乾性オイルを用いた絵の具を開発し、素材の特性から開放された制作の自在性をギャラリー空間に身を置きつつ体現した作品を発表したことも、伊勢周平という画家を最もよくあらわすエピソードとなりました。今回の個展はそれとは逆に、私たちが展覧会を訪れ「ただの絵」の中に身を置く感覚で、伊勢には看取されている絵画の持つ底知れなさ、あるいは得体の知れなさを、私たちを説得するものでも納得するものでもないところへ連れ出そうというプロポーズになるかもしれません。

 

伊勢自身は難しいことを話す(制作や作品について言及する)ことも必要ないと考えている代わりに、人が「絵画をわかっている」という「わかっていること」を超える学習と実践の質と量、それを制作へ還元し続ける大切さが作家にはあることは伝えたいのかもしれません。 作家のそうした行為の積み重ねや織り込みの途上にこそ、社会性、知性、理性といった人間を成熟と成長へ向かわせることを伊勢はみているように思えてきます。

 

 

伊勢周平|ぶっきらぼうな筆

 

開催期間 2017年10月28日(土)~11月25日(土)

オープニングレセプション10月28日(土) 18時 – 20時

開廊:火曜 – 土曜 12:00 – 19:00(休廊 日曜・月曜・祝日)

〒106-0047 東京都港区南麻布 3-9-11 パインコーストハイツ 1F

TEL 03-6804-3018 |FAX 03-4578-0318 |E-MAIL: gallery@tsca.jp

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