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  • “Mirror ACM_CCCC”, 2016, dia.90cm, Polished iron, Coloured chromate conversion coating, Photo: Yuki Moriya

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矢津吉隆 | Passage

22 April - 27 May, 2017

Venue : Takuro Someya Contemporary Art

この度Takuro Someya Contemporary Art では矢津吉隆個展「Passage」を開催いたします。

 

矢津吉隆は1980年大阪生まれ。2004年京都市立芸術大学美術科彫刻専攻卒業。京都造形芸術大学非常講師。

京都を拠点に活動を展開する矢津は、立体を中心に様々な素材を用いてインスタレーション作品を制作しています。アニミズムや神道、そして南方熊楠などに透徹している文化人類学的な対象に強い関心を持ち、近現代において失われかけた霊的な感性の在処を見つめ直すような仕掛けを多様に打ち出している。2012年から展覧会を宿泊をつうじて体験することができるアートスペース『kumagusuku』のプロジェクトを始動し、瀬戸内国際芸術祭2013・醤の郷+坂手港プロジェクトに参加し、3ヶ月限定で開催。2015年1月には、京都四条大宮にKYOTO ART HOSTEL kumagusuku を正式オープンしました。本展は、矢津がkumagusukuをオープンして以来、初の東京での個展であり、kumagusukuという体験の場を通じた経験を経て、ギャラリーでの鑑賞へと再び志向し、打ち出した”Passage [通路/回路]”に何か?が立ち現れてくるはずです。

 

矢津は、人類に装填された物事を神聖に感じる感覚というものに対する純粋な興味と、人がその感覚を依り代にして生み出した宗教やその儀式、道具などの存在。そして、そのプロセスは現代に置き換えることが可能であるということ。すなわち、現代には現代の神の姿があり、その神の形成は古来とは異なっていて、そこに対しての知的探求心が創作の原動力となっていると言えます。そうした作家の意図が表象した作品群と展示構成は、作者-展示-鑑賞者を媒介して共振する霊的な感性に賭けたともいえる空間へと繋がっています。その場において鑑賞者は構えをひらかなければ、もしかすると展示から得られるものは多くないでしょう。

 

展示空間で最初に目につくのは、作家によって指定されたサイズ(横幅5m×高さ105cm×厚さ60cm)の台です。この台がギャラリー空間を横切るように配され、祭壇でありかつ通路である構成をもたらしています。台上には原始的な器の”ようなもの”が置かれ、その向こう側には、円形の彩色された鏡面、布にプリントされた写真群(歴史的な遺跡、縄文土器、飼い猫、旅先でとらえた風景、ペニス石碑など)、そしてモノトーンにエフェクト処理された恐山の映像などがあります。矢津は、こうした礼拝的構図をもったインスタレーションのなかに、人間が認識の果実をかじる以前に人間が抱いていた霊的な感性へとつうじる”Passage 通路”を開設しようとしているのではないでしょうか。

 

器未満のオブジェクトは、太古の人類が石のくぼみを道具として再発見したときのように、物と用のあいだでゆらぐ認識を帯びて、言い換えれば、質料と形相のはざまで不定にたたずんでいます。そのものに水を入れて口に近づけたその時に水面に映った顔を目撃するとき、少しだけ水鏡のようになる器のイメージとなって銀色の輝きへとつうじているのです。

 

円型の鏡は、古来から神聖な儀式で用いられ、向こう側-幽世(かくりょ)を写し出すメディアです。矢津は、みずからアルミを磨き上げた鏡面で、インクとラッカーの反応を待ちながら、水平な色彩の膜に向こう側から写つりこんだ幽世を投影させるよう試みているのかもしれません。

 

写真もまた、鏡同様に写し出す作用を持っていますが、ここではむしろ矢津自身の<フィールドワーク-巡礼>のインデックスとしての働きが強いようです。史跡や旅といった時空間を飛躍する巡礼や、登山や動物といった自然との邂逅、それらのなかに私たち現代人の霊的な感性を惹起する機会は散らばっています。自らの認識を見つめ直し、幽世が投影された鏡面写像や、巡礼のインデックスを通り過ぎることによって、矢津は私たちを”向こう側”へと誘おうというのでしょう。

 

そのうえで、ギャラリーという現実原則を帯びた空間で、霊性への通路として共振がおきるかどうかは、すべての鑑賞者に委ねられています。本展は、霊的な感性を現代に呼び醒ます装置であり、いわば通路としての作品なのです。

 

 

矢津吉隆 | Passage

開催期間 2017年4月22日(土)~5月27日(土)

開廊:火曜 – 土曜 12:00 – 19:00(休廊 日曜・月曜・祝日)

オープニングレセプション:4月22日(土)18時 – 20時

 

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